「まどか☆マギカ」、「化物語」、「AKB48」...パチンコ・パチスロ業界の現状に見る消費者心理

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各種メディアを通じて日本のパチンコ・パチスロ人口が年々減り続けているというニュースをよく目にするようになりました。 J-CASTニュースが本日2014年12月30日に報じたパチンコ人口がピーク時の3分1に激減、1000万人を切る 「AKB48」や人気アニメを使った台に若者は来なかったの記事によると、パチンコ・パチスロ人口はピーク時(1995年)に比べて3分1に激減、1000万人を切ったとのことです。
「まどか☆マギカ」、「化物語」、「AKB48」、更には、「涼宮ハルヒの憂鬱」「新世紀エヴァンゲリオン」、「冬のソナタ」といった大ヒットアニメ・ドラマ作品、人気アイドル等とコラボして若者を呼び戻そうとしてきたパチンコ・パチスロ業界ですが、若者が戻ってくることはなかったそうです。
その背景として、「最近の台はあっという間に3万円くらい簡単になくなる」、「パチンコ、酒、タバコに関しては金が無いのも原因だと思う」、「今や暇つぶしはパチンコ以外にいくらでも有るからな。」といった理由と、最近の若者は、ソーシャルゲームはゲームを進める上で必要なアイテムやキャラを得るため、「ガチャ」と呼ばれるスロットに課金する。という理由が挙げられていました。勿論、こういった理由も考えられますが、それぞれについてもう少し考察していこうと思います。
まず、「最近の台はあっという間に3万円くらい簡単になくなる」についてですが、こちらは正確な統計等の情報源はありませんが、GoogleやYahoo!といった大手検索エンジンで調べると、3万円があっという間になくなるという結果は、最近に始まったことではないことが直ぐに分かりますので、このことが若者離れの直接的原因ではないように思われます。昔からパチンコ・パチスロには高額なお金がかかることが世間一般に認識されていたことになります。
次に、「パチンコ、酒、タバコに関しては金が無いのも原因だと思う」についてですが、借金をしてまでギャンブルにお金を注ぎ込んで自己破産というニュースは今に始まったことではないですし、珍しい話ではありません。一部の上場企業をのぞく一般家庭の収入が減り続けているという背景から、多少なりとも余暇に費やすお金が減ったとはいえ、顧客離れの大きな要因にはなり難いと思います。
そして、「今や暇つぶしはパチンコ以外にいくらでも有るからな。」という情報に対してですが、パチンコ・パチスロが「暇つぶし」という一面だけで成り立っているわけではないこと、今も、昔も趣味・趣向の選択肢は見つければ幾らでもあったはずです。逆に考えると、パチンコ・パチスロ人口がピークだった1995年~2014年年度末までの間、インターネットを通じて配信されるサービス以外の分野で、どれだけの新しい余興が増えたかを考えたら、顧客離れにつながる要因として影響力があまりないものと考えます。
最後に、SNSの「ガチャ」に課金すると考えている人もいるといった意見もあったようですが、2012年4月22日(日) のGameBusiness.jpにて紹介された池田敬人氏のソーシャルゲームプラットフォームの利用と課金を世代で分析する・・・「データでみるゲーム産業のいま」第15回のデータを見ると、この件もまた、パチンコ・パチスロ人口減少の要因の核には成り得ないという結論に至ります。このデータは、調査対象としたSNSがMobage、GREE、ハンゲーム、mixi、Facebook、アメーバピグのいずれも現在国内で多くのゲームユーザーを抱えているSNSメジャーの6つを対象に、2012年2月単月の結果を分析したものですが、その要旨としては、①利用者の割合が一番多いのが20代のユーザーになるものの、「20代ユーザーは有料利用率が最も低い」、②20代と40代のユーザーは、一部の高額課金者が平均単価を押し上げている、③全ての世代の有料ユーザー1人当たりの月間売上高は5,000円未満となっているという3つの特徴が挙げられます。つまり、パチンコ・パチスロに投資ができなくなる程の高額な課金者の割合は少ないと解釈できるということです。
こうした事実関係から、パチンコ・パチスロ人口が減った理由として、もう少し深く考えてみる余地があるといえそうです。そこで、考えてみたいのが『消費者心理』についてです。
まず、「価値がある(面白い、可愛い、キレイ、便利、見たい、聞きたい、おいしそう等)」=「欲しい(遊びたい)」という絶対に外せない単純明快な消費者心理に基いて考察してみます。
日遊協’09春ファンアンケート調査によると、調査対象の2,654人に質問した「ゲームとしての面白さは」に対しての回答のうち、「それほど面白くない」、「どちらとも」と答えた割合が、3期続けて平均50%を超えているという結果が読み取れます。また、「ホール環境が改善されているか」の質問からは、平均70%以上の人が安心して遊べるという回答をしたことが分かります。では、環境が改善されたのにも関わらず、顧客離れが進む要因は何故か。それは、パチンコ・パチスロとコラボされた、アニメ・ドラマ作品、アイドル等を考えてみると明確になります。それらは、消費者心理を的確に捉えていたからこそ大ヒットしたのであって、その実績から、パチンコ・パチスロ業界がそれらの人気を利用して若者を呼び戻したいという心理に至ったのだと考えられます。大人気アニメ・ドラマ作品、アイドルの力を持ってしても若者が戻ってこなかったのは、提供するサービスが「面白い」=「遊びたい」といった消費者ニーズを満たすことができなかったからと考えるのが極自然な流れだと思います。
次に、ここが一番重要なところになりますが、『わざわざパチンコ・パチスロ店まで行って、お金を出してまで実機を打つ理由がない』といった消費者心理がパチンコ・パチスロ人口の減少を招く大きな要因と考えます。
例えば、パチンコ・パチスロにコラボ化されたアニメの大ファンで、関連する商品には全てふれてみたいという心理にある顧客がいたとします。実際にその顧客がお店に足を運んでまでパチンコ・パチスロをするかといったらそうはならないと容易に想像がつきます。何故なら、お店にいかなければ商品を体感できないといったことがないからです。「家庭用ゲーム機」、「モバイルアプリ」、「PCゲーム」、「動画投稿サイト」、「ゲームセンター」といった場所で、いつでも、いくらでも体感できるという環境があります。加えて、実機を打つよりも、経済的な面からみても、リーズナブルに体感できてしまうからです。
また、勘違いをしてはいけないのは、作品のファンはあくまでも『作品』のファンであって、パチンコ・パチスロのファンではないということです。作品目当てで来店したファンが実機に対して面白いと評価しない限り、継続して通う理由もありません。通う理由がなければ、パチンコ・パチスロに使うお金を抑えて、他のグッズを買う方が、ファンにとっての満足度が高いのも至極当然の結果といえます。
さらには、ソーシャルゲームの課金であれば、カードやアイテムとして形のあるものが残りますし、自分が課金アイテムを購入することでチームの助けになれるとか、貢献感を得られるような要素もありますが、パチンコ・パチスロは負けてしまえば、形として残るものが何もありません。仮に、アニメ・ドラマ作品に関する特典で実機を打たなければ絶対に手に入らないプレミアムグッズがあるとか、応援しているアイドルと実際に会えるチャンスがあるとか、『これしかない』といった事実でも無い限り、人気作品・アイドルとただコラボレーションするだけでは話題性があるだけで、意図した結果につながらない可能性も十分にあるといえます。
最後に、パチンコ・パチスロの顧客離れの理由について、社会情勢からも考えていきます。ここにも大きな要因が1つあります。それは、日本は現在、超が付くほどの少子高齢社会にあるということです。消費者の絶対数が若者を中心に激減している中、昔のように多くの若者がパチンコ・パチスロ店に集まるのは物理的に不可能です。客離れというよりも、自然現象(減少)といえる部分もあるかもしれません。
これは、パチンコ・パチスロ業界だけに限ったことではなく、日本のあらゆる業界で深刻な問題にもなっていることです。日本人の絶対数が減れば、客単価を上げるか、海外市場を開拓するか等の対策が必要になります。今後、海外移転する会社が増えれば、それに伴い海外に日本人が流失するため、それだけ国内の消費者も必然的に減ってしまうという負のスパイラルに陥いる可能性も否めません。
このように、消費者心理、社会情勢を考えた時、見えてくることは私たちに多くのことを改めて気付かせてくれます。そういった意味で、この記事を書きながら沢山のことが勉強できたと思いました。みなさまは、消費者心理についてどのように思われましたか。長々となりましたが、最後までご拝読くださいまして、ありがとうございました。

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